欧米ではシーズンの終わりとなる6月。日本の音楽シーンでも注目公演が相次いで開催された。そんな6月のステージからピカイチを、8月開催予定の演奏会などからイチオシを選者の皆さんに紹介していたたく。
先月のピカイチ
◆◆6月◆◆ 東条碩夫(音楽評論家)選
〈サントリー・チェンバーミュージック・ガーデン2026エベーヌ弦楽四重奏団 ベートーヴェン・サイクル〉
6月16日(火)サントリーホール ブルーローズ
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」、同第13番「大フーガ付」
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〈読売日本交響楽団 第659回定期演奏会〉
6月23日(火)サントリーホール
上岡敏之(指揮)/田部京子(ピアノ)
グリーグ:ピアノ協奏曲/ショスタコーヴィチ:交響曲第8番
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~奏者の解釈、問題提起と賛否~
歯切れのいい現代感覚を備えたエベーヌ弦楽四重奏団のベートーヴェンをピカイチに。一方、上岡敏之のショスタコーヴィチの8番は、あのような解釈に対しては異義を申し立てたいのが本音だが、優れた演奏で堂々と問題提起を行なった大胆で意欲的な姿勢と、それを正面から受け止めてブラヴォーとブーイングにより率直に賛否を表明した聴衆の存在は貴重だ。それらさまざまな意味を含め、近年稀な演奏会として、ここに敢えて推す。
来月のイチオシ
◆◆8月◆◆ 東条碩夫(音楽評論家)選
〈セイジ・オザワ 松本フェスティバル オーケストラ コンサートAプログラム〉
8月22日(土)、23日(日)キッセイ文化ホール
沖澤のどか(指揮)/務川慧悟(ピアノ)/原田節(オンド・マルトノ)/サイトウ・キネン・オーケストラ
メシアン:トゥランガリーラ交響曲
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〈神戸市室内管弦楽団 第174回定期演奏会 喜歌劇「スザンナの秘密」〉
8月1日(土)神戸文化ホール 大ホール
小林資典(指揮)/籔川直子(演出)/森谷真理(伯爵夫人スザンナ)/大西宇宙(ジル伯爵)/いいむろなおき(サンテ)
ストラヴィンスキー:組曲「プルチネルラ」/ヴォルフ=フェラーリ:喜歌劇「スザンナの秘密」(セミ・ステージ形式)
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~快調コンビで魅せる「トゥランガリーラ交響曲」~
快調のコンビ、沖澤とSKOが手がけるメシアンの大交響曲をイチオシとする。同率としてロトがSKOを指揮するブルックナー(8番)も挙げたいところだが、同じ音楽祭ゆえ偏るのは避けて、今は頑張ってもらいたい神戸市室内管を次点として挙げよう。大西・森谷の歌手陣もさることながら、ドルトムント市立劇場音楽総監督代理等を務める小林資典が指揮するオペラを聴けるのが貴重だ。彼は日本でもっと聴かれていい人なのである。
先月のピカイチ
◆◆6月◆◆ 柴田克彦(音楽ライター)選
〈NHK交響楽団 第2067回定期公演 Aプログラム〉
6月13日(土)NHKホール
ヤープ・ヴァン・ズヴェーデン(指揮)/コンラッド・タオ(ピアノ)
ワーグナー:楽劇「ニュルンベルクのマイスタージンガー」前奏曲/モーツァルト:ピアノ協奏曲第17番/バルトーク:管弦楽のための協奏曲
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〈GTシンフォニック・コンサートvol.2 オペラ「トスカ」〉
6月6日(土)高崎芸術劇場 大劇場
沼尻竜典(指揮)/粟國淳(舞台構成)/佐藤康子(トスカ)/シュテファン・ポップ(カヴァラドッシ)/上江隼人(スカルピア)/妻屋秀和(アンジェロッティ)他/GTシンフォニック・コンサート・プロフェッショナル・シンガーズ/藤岡市立小野小学校合唱部/群馬交響楽団
プッチーニ:歌劇「トスカ」(セミ・ステージ形式)
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~今季在京オーケストラ公演の最上位に値するズヴェーデン&N響~
ズヴェーデン&N響のバルトークは、キビキビとした運びでグングン突き進む指揮と、オーケストラのクールな機能性がマッチした快演。タオのモーツァルトも好演で、個人的には今年の在京オーケストラ公演の最上位だ。群響の「トスカ」は、オーケストラが舞台上に置かれたセミ・ステージ形式によって、作曲者の重層的な管弦楽の妙味を再発見させられた。沼尻の劇的な表現と、この形式で歌手の声が埋没しないバランスの良さにも感服。
来月のイチオシ
◆◆8月◆◆ 柴田克彦(音楽ライター)選
〈セイジ・オザワ 松本フェスティバル オーケストラ コンサートAプログラム〉
8月22日(土)、23日(日)キッセイ文化ホール
沖澤のどか(指揮)/務川慧悟(ピアノ)/原田節(オンド・マルトノ)/サイトウ・キネン・オーケストラ
メシアン:トゥランガリーラ交響曲
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〈セイジ・オザワ 松本フェスティバル オーケストラ コンサート Bプログラム〉
8月29日(土)、30日(日) キッセイ文化ホール
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)/サイトウ・キネン・オーケストラ
ブルックナー:交響曲第8番(ハース版)
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~セイジ・オザワ 松本フェスティバル オーケストラ公演への期待~
今回はセイジ・オザワ 松本フェスティバルの2つのオーケストラ公演に注目。フランス近代音楽を得意とする沖澤が、名手揃いの敏腕オーケストラを振って、いかなる「トゥランガリーラ」を聴かせるか? 近年の同コンビの好相性を示す名演からも期待は大きい。また、久々に登壇するロトの歴史的な視座とモダン性を併せ持った清新な(であろう)ブルックナーも大いに楽しみ。彼とオーケストラのコンビネーションにも熱視線が注がれる。
先月のピカイチ
◆◆6月◆◆ 池田卓夫(音楽ジャーナリスト)選
〈サントリー・チェンバーミュージック・ガーデン2026エベーヌ弦楽四重奏団 ベートーヴェン・サイクル〉
6月16日(火)サントリーホール ブルーローズ
ベートーヴェン:弦楽四重奏曲第7番「ラズモフスキー第1番」、同第13番「大フーガ付」
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〈大阪交響楽団 シューマン交響曲全曲演奏会 Vol.1〉
6月18日(木)箕面市立メイプルホール
上岡敏之(指揮)
シューマン:交響曲第一番「春」、第4番
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~エベーヌ弦楽四重奏団、傑出のベートーヴェン~
サントリーホールのチェンバー・ミュージック・ガーデンが毎年異なるクァルテットを招くベートーヴェン全曲の中でもエベーヌの水準は傑出していた。チェロの岡本侑也がすっかり溶け込み、時にリードするまでに至ったのも素晴らしい。最後に置かれた「大フーガ」は圧巻。上岡と大阪響の初顔合わせによるシューマンは今後への期待大だ。
来月のイチオシ
◆◆8月◆◆ 池田卓夫(音楽ジャーナリスト)選
〈ロームシアター京都開館10周年&京響創立70周年 共同プロジェクトProject A「オルフ:カルミナ・ブラーナ」〉
8月23日(日)ロームシアター京都 メインホール
ヤン・ヴィレム・デ・フリーント(指揮)/安井陽子(ソプラノ)/藤木大地(カウンターテナー)/大西宇宙(バリトン)/京都市少年合唱団/京響コーラス、京都市立芸術大学、京都市立京都堀川音楽高等学校(合唱)/京都市交響楽団、京都市立芸術大学(管弦楽)
ブリテン:シンフォニア・ダ・レクイエム/オルフ:カルミナ・ブラーナ
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〈佐藤正浩プロデュース いずみホール・オペラ2026「ウェルテル」〉
8月8日(土)住友生命いずみホール
佐藤正浩(プロデュース/指揮)/宮里直樹(ウェルテル)/池田香織(シャルロット)/甲斐栄次郎(アルベール)/石橋栄実(ソフィー)/妻屋秀和(大法官)他/岸和田市少年少女合唱団/ザ・カレッジ・オペラハウス管弦楽団
マスネ:「ウェルテル」(演奏会形式)
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~戦時中の2作の対比に注目~
京都市響首席客演指揮者デ・フリーントはオルフの「カルミナ・ブラーナ」(1937年)、ブリテンの「鎮魂交響曲」(1941年)と第二次世界大戦中、わずか4年の時差で世界初演されながら、作曲者が政治的立場を全く異にする2作を対比させる。マスネの「ウェルテル」は新国立劇場でも再演されたばかりだが、また別の味わいを期待する。
先月のピカイチ
◆◆6月◆◆ 毬沙琳(音楽ジャーナリスト)選
〈東京都交響楽団 都響スペシャル(6/20)〉
6月20日(土)サントリーホール
ペッカ・クーシスト(指揮&ヴァイオリン)
シベリウス:組曲「恋人」/アンデシュ・ヒルボリ:バッハ・マテリア(日本初演)/アンドレア・タッローディ:「きりん座」(日本初演)/シベリウス:交響曲第5番
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〈日本フィルハーモニー交響楽団 創立70周年記念特別演奏会〉
6月21日(日)サントリーホール
カーチュン・ウォン(指揮)/船越亜弥(罪深き女)/吉田珠代(懺悔する女)/三宅理恵(栄光の聖母)/花房英里子(サマリアの女)/中島郁子(エジプトのマリア)/宮里直樹(マリア崇敬の博士)/青山貴(法悦の教父)/加藤宏隆(瞑想する教父)/日本フィルハーモニー協会合唱団、他
マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」
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~クーシスト×都響 多彩な音楽性で未来を照らす~
クーシストと都響の演奏会は、音楽を共に奏で、聴衆に届ける歓びが一音一音から強く感じられる。楽器の概念を軽々と超え、楽員との即興的なやりとりなどアイディア満載の「バッハ・マテリア」から、シベリウスの交響曲第5番で聴かせたどこまでも自然で深奥な響きまで多彩な音楽が未来を照らすよう。
日フィルのマーラー「千人の交響曲」はあらゆる音が明晰に届くカーチュン・ウォンの特長が生きホール全体が壮大な響きに包まれた。
来月のイチオシ
◆◆8月◆◆ 毬沙琳(音楽ジャーナリスト)選
〈セイジ・オザワ 松本フェスティバル オーケストラ コンサートAプログラム〉
8月22日(土)、23日(日)キッセイ文化ホール
沖澤のどか(指揮)/務川慧悟(ピアノ)/原田節(オンド・マルトノ)/サイトウ・キネン・オーケストラ
メシアン:トゥランガリーラ交響曲
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サントリーホール開館40周年記念「時を編む響」
8月27日(木)サントリーホール
沼尻竜典(指揮)/砂田愛梨(ソプラノ)/小林愛実(ピアノ)/成田達輝、石上真由子(ヴァイオリン)他/東京交響楽団
第1部=カミーユ・ペパン:弦楽四重奏のための「シルヴァカームの水の葉」(日本初演)他/第2部=三善晃:ソプラノと管弦楽のための「決闘」/武満徹:ピアノと管弦楽のための「リヴァラン」
第3部=トーマス・アデス:ヴァイオリンと管弦楽のための「アリア(エア)」~シベリウスへのオマージュ(日本初演)他
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~小澤征爾ゆかりの「トゥランガリーラ交響曲」を松本で~
「トゥランガリーラ交響曲」は、セイジ・オザワ 松本フェスティバルにとって小澤征爾、縁の大作。氏の薫陶を受け継ぐオーケストラ、音楽祭首席指揮者の沖澤、秀逸な技巧と音楽性が光るピアノの務川、オンド・マルトノの原田といった顔合わせで聴けるまたとない機会。
サントリーホール40周年の「時を編む響」は小林愛実、成田達輝はじめ名実ともに活躍中の演奏家たちが、国内外の現代作品を通じて時代の変遷に光をあてる好企画だ。
先月のピカイチ
◆◆6月◆◆ 宮嶋 極(音楽ジャーナリスト)
〈日本フィルハーモニー交響楽団 創立70周年記念特別演奏会〉
6月21日(日)サントリーホール
カーチュン・ウォン(指揮)/船越亜弥(罪深き女)/吉田珠代(懺悔する女)/三宅理恵(栄光の聖母)/花房英里子(サマリアの女)/中島郁子(エジプトのマリア)/宮里直樹(マリア崇敬の博士)/青山貴(法悦の教父)/加藤宏隆(瞑想する教父)/日本フィルハーモニー協会合唱団、他
マーラー:交響曲第8番「千人の交響曲」
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〈トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団 日本公演〉
6月8日(月)サントリーホール
タルモ・ペルトコスキ(指揮)/辻井伸行(ピアノ)
ラフマニノフ:パガニーニの主題による狂詩曲/マーラー:交響曲第6番「悲劇的」
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~稀有な規模で音響効果が創出された「千人の交響曲」~
ウォン&日本フィルによるマーラー8番は520人超の大編成での演奏。千人とはいえ、これほどの多人数は最近では珍しい。オルガン下のP席に加えてLA、RA席にも合唱が配置され3方向からの声の効果は抜群。ウォンはバランスをうまくコントロールし、音の洪水にすることなく壮大な響きを創出したのがよかった。ペルトコスキについてはその才能を裏付ける熱演が披露されたが詳細は速リポ(タルモ・ペルトコスキ指揮 トゥールーズ・キャピトル国立管弦楽団 東京公演 | CLASSICNAVI)をご覧ください。
来月のイチオシ
◆◆8月◆◆ 宮嶋 極(音楽ジャーナリスト)
〈セイジ・オザワ 松本フェスティバル オーケストラ コンサートAプログラム〉
8月22日(土)、23日(日)キッセイ文化ホール
沖澤のどか(指揮)/務川慧悟(ピアノ)/原田節(オンド・マルトノ)/サイトウ・キネン・オーケストラ
メシアン:トゥランガリーラ交響曲
次点
〈セイジ・オザワ 松本フェスティバル オーケストラ コンサート Bプログラム〉
8月29日(土)、30日(日) キッセイ文化ホール
フランソワ=グザヴィエ・ロト(指揮)/サイトウ・キネン・オーケストラ
ブルックナー:交響曲第8番(ハース版)
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~夏の音楽祭、OMF 2公演を推す~
8月は各地の音楽祭で注目公演が多々あるが取材に訪れる予定のOMF 2公演を推す。Aのトゥランガリーラ交響曲は沖澤が強く望んでの選曲。理由についてはインタビュー記事(セイジ・オザワ 松本フェスティバル首席客演指揮者 沖澤のどかインタビュー | CLASSICNAVI)をご参照ください。彼女にとって大きな挑戦となるであろう公演といえる。次点はBのロト指揮によるブルックナー8番。平凡な解釈をすることがない鬼才だけにサイトウ・キネン・オケ相手にその真価を発揮してくれることを期待したい。










