コンサートのライヴ・レコーディングは、会場の熱気に刺激された演奏家のホットな感興を封じ込めたドキュメントだ。国内で昨年行われた実況録音による注目作が、相次いで登場した。
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小山実稚恵 ラフマニノフ ピアノ協奏曲第2番
ドミトリー・ユロフスキ(指揮)/小山実稚恵(ピアノ)/東京フィルハーモニー交響楽団&フェドセーエフ・フレンズ
ラフマニノフ:ピアノ協奏曲第2番/パガニーニの主題による狂詩曲より第18変奏
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リヒャルト・シュトラウス アルプス交響曲
アンドレア・バッティストーニ(指揮)/東京フィルハーモニー交響楽団
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ベートーヴェン&J・シュトラウスⅡ ―エリアスとウィーンへ
エリアス・グランディ(指揮)札幌交響楽団
ピアノの小山実稚恵が近年、いちだんと充実度を高めている。デビュー40周年記念となった昨年10月のサントリーホール公演も、内実ある手ごたえを残した。当日に披露したラフマニノフのピアノ協奏曲第2番が、なんと小山初のライヴ盤としてリリースされた。
私は会場で実演を聴いたが、ぐっと腰を据えてテンポを落とし、作品へ深く没入する姿は並々ならぬ気迫を感じさせた。小山はテンペラメント豊かに旋律を悠然と歌い込み、濃厚なロシア情緒をこまやかに紡いでゆく。ルーティンな感覚はみじんもなく、ライヴならではのホットな盛り上がりが印象的だ。来演が叶わなかった名匠フェドセーエフが推薦したというドミトリー・ユロフスキ指揮の東京フィルは、弦の首席級に送り込まれた「フェドセーエフ・フレンズ」の助けもあって、重量感ある骨太な響きで小山を支える。
アンコールで演奏した「パガニーニの主題による狂詩曲」第18変奏も、ロマンティックな曲想を熱く全開にした名演。
同じ東京フィルでも、首席指揮者であるイタリアの知将バッティストーニが率いると、ずいぶん趣を変え、華麗な色彩と血沸き肉躍る劇的な感覚が前面に出てくる。リヒャルト・シュトラウスの「アルプス交響曲」に、そんなキャラクターを投影すると、ひと味違った側面が表れる。写実的な各場面の裏で、登山者のさまざまな感情や心理状況がうごめいて、作品から重層的な奥深さを引き出している。昨年9月、オーチャードホールでのライヴ。
札幌交響楽団の首席指揮者に昨年、就任したばかりのエリアス・グランディはドイツ生まれの新鋭。本拠地の札幌コンサートホールKitaraで11月に、ベートーヴェンの「田園」交響曲とヨハン・シュトラウス2世のワルツなどを取り上げた一晩のコンサート・ライヴを、さっそく出してきた。ウィーンつながりの名品を、明るく軽やかな足取りでまとめた。
ふかせ・みちる
音楽ジャーナリスト。早大卒。一般紙の音楽担当記者を経て、広く書き手として活動。音楽界やアーティストの動向を追いかける。専門誌やウェブ・メディア、CDのライナーノート等に寄稿。ディスク評やオーディオ評論も手がける。










