住友生命ウェルビーイングコンサート ウィーン少年合唱団 2026

新作初演も話題〝天使の歌声〟ウィーン少年合唱団の来日ツアーが開幕!

その長い歴史と伝統が称えられ「ユネスコ無形文化遺産」に登録されているウィーン少年合唱団。今年で海外公演が100年目をむかえた彼らの日本ツアー(全19都市計31公演)が開幕。大型連休も後半に差し掛かった5月3日、サントリーホールでの公演を聴いた。

ウィーン少年合唱団のブルックナー組による日本ツアーの東京公演 (C)Junichiro Matsuo
ウィーン少年合唱団のブルックナー組による日本ツアーの東京公演 (C)Junichiro Matsuo

周知の通りウィーン少年合唱団は「シューベルト組」「モーツァルト組」「ハイドン組」「ブルックナー組」の 4つのグループで活動を分担しているが、今年は「ブルックナー組」のメンバー全23人が来日。なかには日本の石嶋天風君の顔も見られるなど、この合唱団がオーストリア以外の国籍を持つ少年たちも活躍できる団体であることをアピールする。指揮とピアノはカペルマイスターのマノロ・カニン。初日の所沢での公演(5月2日)も成功したようで合唱団のメンバーたちも絶好調の様子。溌剌(はつらつ)とした雰囲気でステージに登場した。

カペルマイスターのマノロ・カニン (C)Junichiro Matsuo
カペルマイスターのマノロ・カニン (C)Junichiro Matsuo
ブルックナー組メンバーには、日本の石嶋天風君(後列左から2番目)の姿も (C)Junichiro Matsuo
ブルックナー組メンバーには、日本の石嶋天風君(後列左から2番目)の姿も (C)Junichiro Matsuo

今回は2種類のプログラムが組まれ、この日はAプロ〝ウィーンの風にのせて〟。当初の発表通り22曲が取り上げられた。ベートーヴェン、シューベルト、シュトラウス・ファミリーのワルツやポルカなどウィーンにゆかりの深い名作では、くったくのないのびのびとした歌唱は快適。宮廷礼拝堂の職務を担うだけあってパーセルやモーツァルトなどの教会音楽では少年合唱特有の瑞々しい美声と端正な様式美が際立つ。その一方でファルコ&ボランド兄弟の「ロック・ミー・アマデウス」やビリー・ジョエル(!)の「ウィーン」などポップス系ナンバーでも抜群のノリの良さをみせるなど自在な表現力に唖然(あぜん)とするばかり。叙情的な日本の合唱曲(岡野貞一「ふるさと」、菅野よう子「花は咲く」)も心に染みた。さながらウィーン発の時空を超えた音楽旅行。

ウィーンにゆかりの深い名作では、くったくのないのびのびとした歌唱を聴かせた (C)Junichiro Matsuo
ウィーンにゆかりの深い名作では、くったくのないのびのびとした歌唱を聴かせた (C)Junichiro Matsuo

そのなかでひときわ印象深かったのが藤倉大(1977~)の書き下ろし新作「Moon Boat(月の舟)」とハインツ・クラトホヴィル(1933~1995)の「神を喜びたたえよ」。世界初演となる藤倉作品は宮沢賢治と中原中也の詩や万葉集の一部をテキストとしたアカペラの楽曲で、日本語の美しいことばが柔らかな質感を伴ってホールの空間に放たれていく様は幻想的でぞくぞくさせる美しさがある。クラトホヴィルの曲では団員たち一人ひとりが間隔をとってステージ目いっぱいに広がり、様々な方向からポリフォニックな音の綾を紡いでいく。その立体的なサウンドは教会の中を想わせ、神秘的な魅力に惹きこまれた。

団員の一人がヴァイオリンでオブリガートを弾き、或いは数人が小打楽器を手にとり演奏を彩るなど、彼らの芸達者ぶりにも驚かされる。アンコールに「エーデルワイス」「祈りのヨーデル」「ラデツキー行進曲」を用意し、これまたファンを大いに喜ばせていた。
(城間 勉)

団員の一人がヴァイオリンでオブリガートを弾いた (C)Junichiro Matsuo
団員の一人がヴァイオリンでオブリガートを弾いた (C)Junichiro Matsuo
アンコールも大盛り上がり。拍手喝采に包まれて幕を閉じた (C)Junichiro Matsuo
アンコールも大盛り上がり。拍手喝采に包まれて幕を閉じた (C)Junichiro Matsuo

公演データ

住友生命ウェルビーイングコンサート ウィーン少年合唱団 2026

5月3日(日・祝) 13:30サントリーホール 大ホール

カペルマイスター:マノロ・カニン
合唱:ウィーン少年合唱団 ブルックナー組

プログラム
Made in Austria ~ウィーンの風にのせて~
第1部
ベートーヴェン:交響曲第9番より「歓喜の歌」
パーセル:来たれ、汝ら芸術の子らよ
フェルディナント・シューベルト:「レジーナ・チェリ」
モーツァルト:アヴェ・ヴェルム・コルプス
ヴェルナー:野ばら
ドニゼッティ:アヴェ・マリア
シューベルト:魔王
藤倉大:Moon Boat (月の舟) 
[住友生命保険相互会社、ジャパン・アーツ共同委嘱/世界初演]
クラトホヴィル:神を喜びたたえよ
ヨーゼフ・シュトラウス:ワルツ「オーストリアの村つばめ」
ヨーゼフ・シュトラウス:水兵のポルカ

第2部
ボランド&ボランド:ロック・ミー・アマデウス
モーツァルト:アイネ・クライネ・ナハトムジーク
スコットランド民謡:オールド・ラング・サイン(蛍の光)
ビリー・ジョエル:ウィーン
ゴールド、ロイド、メルテンス(アルファヴィル):フォーエバー・ヤング
岡野貞一:ふるさと
菅野よう子:花は咲く
オーストリア民謡:素朴な森の若者
ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「レモンの花咲くところ」
ヨハン・シュトラウス2世:トリッチ・トラッチ・ポルカ
ヨハン・シュトラウス2世:ワルツ「美しく青きドナウ」

アンコール
ロジャース:映画「サウンド・オブ・ミュージック」より〝エーデルワイス〟
オーストリア南チロルの民謡:祈りのヨーデル
ヨハン・シュトラウス1世:ラデツキー行進曲

これからの公演
5月4日(月・祝)13:30サントリーホール 大ホール
5月6日(水・祝)15:30茨木市文化・子育て複合施設おにクル ゴウダホール(大阪)
5月9日(土)14:00南相馬市民文化会館 ゆめはっと 大ホール(福島)
5月10日(日)14:00北上市文化交流センター さくらホールfeat.ツガワ 大ホール(岩手)
5月15日(金)18:00さいたま市文化センター 大ホール(埼玉)
5月16日(土)15:00アクリエひめじ(兵庫)
5月17日(日)14:30愛知県芸術劇場 コンサートホール(愛知)
5月18日(月)13:30東京芸術劇場 コンサートホール(東京)
5月19日(火)13:30東京芸術劇場 コンサートホール(東京)
5月22日(金)18:30札幌コンサートホールKitara(北海道)
5月24日(日)14:30シェルターなんようホール(南陽市文化会館・山形)
5月27日(水)18:30ホクト文化ホール(長野)
5月30日(土)14:00ザ・シンフォニーホール(大阪)
5月31日(日)14:00兵庫県立芸術文化センターKOBELCO 大ホール(兵庫)
6月5日(金)14:00杉並公会堂(東京)
6月6日(土)14:00横浜みなとみらいホール(神奈川)
6月7日(日)13:30高崎芸術劇場 音楽ホール(群馬)
6月8日(月)13:30東京芸術劇場コンサートホール(東京)
6月9日(火)19:00福岡シンフォニーホール(アクロス福岡・福岡)
6月11日(木)19:00iichikoグランシアタ(大分)
6月13日(土)14:00山口県民文化ホールいわくにシンフォニア岩国コンサートホール(山口)
6月14日(日)14:00サラマンカホール(岐阜)
6月20日(土)13:30東京芸術劇場コンサートホール(東京)
6月21日(日)13:30東京芸術劇場コンサートホール(東京)

※各公演のプログラムの詳細は、公式サイトをご参照ください。

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城間 勉

しろま・つとむ

音楽大学で音楽学を学ぶ。卒業後はクラシック専門音楽雑誌とクラシック情報誌の編集業務に携わり、2022年からフリーランスとして活動。とくに好きなジャンルは協奏曲、ピアノ曲、オペラなど(もちろんそれ以外のジャンルも聴きます)。B級グルメ探訪を趣味としている。イヌ科の動物を愛する。

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