~5~ 「突然だけど今夜、オネーギン弾ける?」

首席奏者として臨む「ばらの騎士」が上演されるインスブルックのチロル州立劇場
首席奏者として臨む「ばらの騎士」が上演されるインスブルックのチロル州立劇場

ウィーン国立歌劇場でエキストラとして演奏させてもらえるようになってから3年が経ちました。この3年の間に、「リゴレット」「トスカ」「ドン・ジョバンニ」「フィガロ…」や「カルメン」などからバレエは「白鳥の湖」や「オネーギン」など、本当に色々な演目を弾かせてもらいました。全部リハ無し。本番直行。よく考えたら、ジャンプインじゃなくて元々乗ることが決まっている日でも、リハしてから弾いた本番はたったの1回、「白鳥の湖」だけ。あとはこれまで全部ぶっつけ本番です。

エキストラになりたての頃はまだコロナ禍だったので、とにかくジャンプインが多かった。最初は、弾いたことないしどうしよう……とかグチグチ言ってたけど、最近はもう、空いてさえいれば迷わず引き受けます。突如欠員が出た時に、モモなら弾けるのでは? と思って電話してくれることが嬉しいし、何より私はオケピットから見る景色も、この楽団の音も本当に好き。3年経って、だいぶ肝が据わりました。

インスブルックの街並み
インスブルックの街並み

今では「常トラ」と言われるポジションになったものの、やっぱり私はこれから先、オペラとバレエをしっかり勉強したいです。チャンスがあるならば首席で。オーケストラピットでソロが弾いてみたい。

ということで、今夜はオーストリアのチロル交響楽団で「ばらの騎士」の本番です。ポジションは首席。ソロが、結構たくさんある。どんな気持ちになるかな。新しい挑戦やチャンスはいつだって緊張するしワクワクする。

続報をお楽しみに。

公演情報

チロル交響楽団|オーストリア インスブルック
R・シュトラウス オペラ「ばらの騎士」

有冨 萌々子

Momoko Aritomi

東京都立総合芸術高等学校音楽科ヴァイオリン専攻卒業後、ヴィオラに転向。東京藝術大学ヴィオラ専攻を経て、ウィーン国立音楽大学学部、修士課程共に満場一致の首席で卒業。
日本演奏家コンクール、ウィーン・ディヒラーコンクール、アントン・ルービンシュタイン国際コンクール、東京音楽コンクール、ブラームス国際コンクールなど、数々の国内外のコンクールにて入賞、優勝。
2019/2020年度公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション奨学生。2022年度オーストリアHFPヤングアーティスト賞受賞。NHK-FMリサイタル・パッシオ、ヤングプラハ国際音楽祭などに出演。CHANEL Pygmalion Days 2023年参加アーティスト。
これまでにヴァイオリンを玉井菜摘氏、窪田茂夫氏に、 ヴィオラを大野かおる氏、Wolfgang Klos, Ulrich Schönauer, Thomas Selditz, Tobias Leaの各氏に師事。
2022-2024年度ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のアカデミー生として研鑽を積み、同時期にウィーン国立音楽大学にてセルディッツ教授のアシスタント及び講師も勤めた。
国内外のオーケストラでゲスト首席奏者を務めるだけでなく、ソリストとして東京フィル、日本フィル、新日本フィル、スロヴァキア国立放送交響楽団と共演するなど、オーケストラ奏者、ソリスト、室内楽奏者、指導それぞれで今最も期待されている若手実力派ヴィオラ奏者である。

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