
<第43回>アンブロージョ・マエストリ(バリトン)
すごみが利いた圧巻のスカルピアから 柔軟で言葉が明瞭なファルスタッフまで 圧巻のスカルピアだった。2023年11月、ボローニャ歌劇場の日本公演におけるプッチーニ「トスカ」。アンブロージョ・マエストリは比類なく鳴るその声を
オペラ評論家の香原斗志さんが、往年の名歌手から現在活躍する気鋭の若手までイタリアのオペラ歌手を毎回1人取り上げ、魅力をつづります。
すごみが利いた圧巻のスカルピアから 柔軟で言葉が明瞭なファルスタッフまで 圧巻のスカルピアだった。2023年11月、ボローニャ歌劇場の日本公演におけるプッチーニ「トスカ」。アンブロージョ・マエストリは比類なく鳴るその声を
脇園彩 (C) Studio Amati Bacciardi アダルジーザを世界で一番勉強し 磨かれた歌唱にいっそうの輝きが 現在、欧州で一番活躍している若手日本人歌手は、脇園彩一択だろう。その十八番はロッシーニだという
フランチェスカ・ドット 難役「ノルマ」の感情を十全に表現できる やわらかく力強く鮮やかなベルカント 2023年3月、コロナ禍で行き来が困難になって以来、久しぶりにイタリアを訪れ、ボローニャ歌劇場でベッリーニ「ノルマ」を鑑
叙情的な声で千変万化の感情を自然に表現 短期間で評価を高めたイタリアの新星 この人の歌唱には、いつも深い感情移入を強いられてしまう。評価しようとする前に心を奪われている自分がいる。フェデリカ・ロンバルディ。1989年にイ
ノーブルな美声によるスタイリッシュな歌唱 ヴェルディの歌いどきを迎えている 6月に行われたパレルモ・マッシモ劇場の日本公演で、ヴェルディ「ラ・トラヴィアータ(椿姫)」のジョルジョ・ジェルモンを歌ったアルベルト・ガザーレ。
ディミトリー・コルチャック=新国立劇場「ウェルテル」2016年公演より 歌唱に知的な美しさを宿す ベルカント・オペラの申し子 今年4月、シチリア島の州都、パレルモのマッシモ劇場でベッリーニ「ノルマ」を鑑賞した。お目当ては
万全のテクニックを土台に声を成長させ 古希が近づいても衰えない奇跡のテノール 実際、80歳を超えて歌いつづけている歌手もいて、それにくらべれば若いかもしれないが、グレゴリー・クンデの場合、条件が違う。非日常的な声域で歌う
ユシフ・エイヴァゾフ (C) Vladimir Shirokov 「ネトレプコの夫」の形容はもう不要 世界最高峰の声力を誇る大テノール アンナ・ネトレプコの旦那であるのは事実で、数年前まではそう冠して語られるのが常だった
三オクターヴの音域で重厚な声を輝かせる 現代のバリテノーレ アンドレア・ノッツァーリ(1776-1832)。「イングランド女王エリザベッタ」のレイチェスターや「オテッロ」のタイトルロールのほか、「エルミオーネ」のピッロ
ナタリー・デセイ 自然な発声、透明な声、超高音と 女優なみの表現力の両立 ナタリー・デセイの登場は衝撃的だった。きわめて抒情的な声は魅惑的な倍音に包まれ、透明な美しさを湛えている。それを自在に操ってのコロラトゥーラの輝き