第36回 東京交響楽団へのオマージュ
小遣いをためて買ったチケットを大切に握りしめ、日比谷公会堂へ聴きに行った初めての東京交響楽団の演奏は、上田仁指揮でのチャイコフスキーの「悲愴交響曲」、ピアノ協奏曲第1番(ソリストは井口基成)、「胡桃割人形」組曲だった。そ
クラシック音楽業界の表裏に詳しい音楽評論家・東条碩夫さんが、世界的な指揮者やソリストたちの意外な素顔を紹介します。
小遣いをためて買ったチケットを大切に握りしめ、日比谷公会堂へ聴きに行った初めての東京交響楽団の演奏は、上田仁指揮でのチャイコフスキーの「悲愴交響曲」、ピアノ協奏曲第1番(ソリストは井口基成)、「胡桃割人形」組曲だった。そ
1971年、東条氏が初めて群響のライブ録音に訪れた際のエピソードから続きます(前編はこちら) 落雷と停電でひと騒動 第3楽章のさなか(その個所は今でも覚えている)、ついに危惧が的中し、どこかで落雷があったらしく、ホールの
やっぱり発端は「ここに泉あり」 群馬交響楽団の創設期のことを描いた映画「ここに泉あり」のことについては、たいていのクラシック・ファンはよく知っているだろう。私もあの映画を見て、すこぶる感動した一人だ。 映画のラストシーン
弦楽器群が最弱音で「聖杯グラールの動機」を奏し、前奏曲が始まる。同時にグラウンドの4カ所から、大きな気球がゆっくりと上がってゆく。弦が次第に数を増し、音楽が膨らんでゆくのにつれ、4つの気球が夕暮れの紺碧(こんぺき)の空
「ニュルンベルクのマイスタージンガー」が、この3月初頭にびわ湖ホールで、沼尻竜典指揮京都市交響楽団他により上演される。また4月の初めには、東京文化会館で、東京・春・音楽祭の一環として、マレク・ヤノフスキ指揮NHK交響楽団
ルイ・グレーラー氏の名は、長年日本のオーケストラを聴き続けて来た人にとっては、懐かしい響きであろう。若い頃は、あの伝説的なトスカニーニ指揮下のNBC交響楽団のヴァイオリン奏者であり、のち同楽団が自主運営団体シンフォニー・
柴田睦陸(しばたむつむ)さん――といえば、第二次世界大戦後の日本のオペラ界の勃興期における中心人物として、藤原義江氏と並ぶ人気テナーであり、また二期会(現・東京二期会)の創立者のひとりとしても知られている。最初は藤原歌
ヤマカズと言っても、今の人気指揮者・山田和樹さんのお話ではなく、初代ヤマカズの山田一雄氏のこと。彼は、太平洋戦争直後から日本のオーケストラ界を支え、日本交響楽団(現NHK交響楽団)を指揮してマーラーの「復活」や「千人の交
團伊玖磨=1999年09月撮影 「ぞうさん ぞうさん おはなが ながいのね」というあの有名な歌が、團伊玖磨氏の作曲だったことは、一般には意外に知られていないようである。 もう一つ、「七色の谷を越えて 流れて行く 風の
大指揮者ヘルベルト・フォン・カラヤンがピアノを弾く光景を、私は一度しか見たことがない。そもそも指揮者はふだんからピアノを上手に弾くものだし、特に指揮とピアノの二刀流を売りものにしている指揮者でなくても別に珍しいことではな