新連載

人生の達人・宗次德二さんの元気が出るコトバ

桐朋学園宗次ホール

日本で1、2の数多くのクラシック音楽のコンサートを開催し、ランチタイムコンサートは1,000円。映画を観るより安い金額で、ココイチに入ってカレーを食べるくらい気軽に音楽を聴ける奇跡のようなホールが名古屋の中心地、栄にオープンしたのは2007年のこと。代表を務める宗次德二さんは、カレーハウスCoCo壱番屋の創業者である。
街の小さなカレー屋さんから、日本全国にとどまらず海外でも事業を展開する大人気カレーチェーンへと成長させた仕事の達人・宗次さんに、ココイチやその前身である喫茶店、そしてホールの経営を通して培った〝仕事も人生もうまくいく考え方〟を教えていただく新連載。
第1回は、宗次さんが驚くべき決断の早さで道を切り開いていったお話を通して、達人の行動パターンを知る。真似できそうなことから取り入れれば、昨日より少し進歩した自分になれるかも?!

宗次ホール内の事務所にて
宗次ホール内の事務所にて

第1回 即決断して即行動。その先に道ができる

早い決断が吉。行動しながら次の一手を考える

準備を整えてからスタートするのも良いけれど、行動すれば結果はすぐに出ます。喫茶店を経営していた頃、店で人気だったコーヒーゼリーをテイクアウトできるようにしたら、飛ぶように売れました。店を始めてから1年経った頃に2号店を出し、半年間はパンの耳を食べながら借金を返済していましたが、売り上げは目に見えて上がっていきました。その次に考えたのが出前です。出前をするならご飯メニューも必要だろうとカレーライスを追加したことが、後にココイチを始めるきっかけにもなりました。
現場に立っていると、いろいろとアイディアが出てきます。〝こんなはずじゃなかった〟ということもありますが、目標があれば耐えられます。上手くいかなくても萎(しぼ)んでしまわずに、何か解決策はないか、次の一手を考えればいいのです。

「この人と結婚しよう!」心が決まったら即行動

妻とは、高校卒業後に就職した住宅メーカーで出会いました。営業マンだった私は、営業部隊の中で一番早く出社していたのですが、すでに妻と課長の2人が一生懸命働いているのです。そのテキパキとした仕事ぶりを見ていたら気持ちがよくて。すぐにいいなと思いました。そうして日々好感を持って見ていると、笑顔といい、仕事における気配りも最高に思えて、妻に結婚したいと告白したら、「100万円貯まったら結婚しても良いよ」と言われたので、1年足らずで貯めました。営業職は歩合制だったこともあり、効率よく稼ぐことができました。1件でも多く契約を取るために電話を抱えて、競うように受話器を取っていました。

喫茶店のオープン初日に不動産取引業の廃業を決意

喫茶店1号店「バッカス」を経営していた頃の宗次さん
喫茶店1号店「バッカス」を経営していた頃の宗次さん

喫茶店を始めることになった時、私は不動産取引業で独立していたので、妻が中心で、私は雑務を手伝う程度に関わるつもりでした。ところが、オープンと同時にたくさんのお客様が来店し、接客をしているうちに「これは天職だ!」と思ってしまったのです。その瞬間、不動産取引業は廃業しようと決めました。両立は難しいだろうし、何より喫茶業の方が楽しかったから。ところが、いざ始めてみると、喫茶店は体力的にかなりきつい商売でした。早朝から夜まで、1日の実労働時間は13時間ほど。プラス通勤時間も往復40分かかりましたから、1日のうち14時間は喫茶店の仕事に費やしていたことになります。きっと常連のお客様は毎日来たいだろうと考え、休日を少なくし、長時間営業を続けました。
一度だけ「なぜこんな商売を始めてしまったのか」と思ったこともありましたが、来店されたお客様が満足げに帰っていく。その時に感謝の笑顔で「ありがとうございました!」と言えることに充実感と共に幸せを実感していました。
最近は労働時間を短縮して、さらに週休3日制を導入しようなどという動きがありますが、私は、常に目標がありましたから、その目標を達成するために、私自身の休日は少なくし、経営を発展させれば、企業自体もそこで働く社員も経済的により豊かになれると考え働いていました。

(第2回に続く)

~人生を動かした運命の1曲~

カレーハウスCoCo壱番屋の社長職を辞する直前、仕事で博多に向かう飛行機の中で20世紀を代表する歌手で、3大テノールのひとり、ルチアーノ・パヴァロッティが歌うドニゼッティのオペラ「連帯の娘」のアリアを聴きました。その誰にも真似できないような歌唱に心を打たれ、経営に集中するため長年遠のいていたクラシック音楽への愛が再燃することになったのです。

Luciano_Pavarotti
From Kennedy center honors 2001 Washington D.C. Photographer: John Mathew Smith Copyright 2001

~おいしいまかないでやる気アップ!~今日の「宗次食堂」

さっぱりとした冷やし中華をご用意しました。麺を茹で、具材の薄焼き卵・きゅうり・ハムの千切り。豚肉をさっと茹でて冷しゃぶ風にトッピング。
採れたてトマトとゆで卵ものせて、ゴマダレや冷やし中華のたれ、からしマヨネーズ・韓国のりも用意しました。お好きなようにアレンジして召し上がってください。

(取材・文 野崎裕美)

宗次ホール
住所:愛知県名古屋市中区栄4丁目5-14
公式webサイト:https://munetsuguhall.com
Instagram: @munetsugu_hall
X: @munetsuguhall
facebook: munetsuguhall
宗次ホール Youtube チャンネル

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