ピアニストの小山実稚恵が主宰する親子参加型イベント「こどもの夢ひろば ボレロ」が8月3日(土)・4日(日)の2日間、仙台市の日立システムズホール仙台で開催される。「東日本大震災の復興支援のため、未来を担う子どもたちが本物と出会う機会を作り、興味が持てるものと出会って欲しい」という小山の想いに始まったこのイベントも、今年で記念すべき10年目。定番の「ボレロ」大集合コンサートのほか、今回は一般からコンサートへの合唱参加者も募っており、来場者も一体となって楽しめるコンテンツが一段と増えた。
イベントは大きく分けて「ボレロ」大集合コンサートと、その公演チケットでパスポートを入手して楽しめるさまざまな体験型イベントの2つ。コンサートは各日2回(11:15~12:00/14:30~15:15)行われるため、希望する日時のチケットを購入し、空いた時間で体験型イベントを存分に楽しみたい。
体験型イベントより「おもしろサイエンスショー」や仙台うみの杜水族館の協力による「みつけよう!海の小さなモンスター!」の様子
コンサートでは、お馴染みとなった広上淳一の指揮のもと、オーディションを経た小さなピアニストと小山がJ・S・バッハの管弦楽組曲第2、3番(抜粋)、尾高惇忠「子守唄」、ラヴェルの「ボレロ」でスペシャルオーケストラと熱演する。「子どもにオーケストラ公演なんて敷居が高そう…」「クラシック音楽は難しいかな?」そんな不安を抱くお母さん、お父さんも大丈夫。子どもたちは「音楽の父が書いた組曲の形式は…」「フランス音楽に影響を受けた尾高のハーモニーは…」「スペインのリズムに起因したボレロは…」などと難しいことはおそらく考えません(笑)。間近で感じるリズムに、音色に、そして繰り返しながら広がり行く「ボレロ」のメロディに、子どもなりの面白い!を見つけてくれるかもしれない。
なお、今年は宮城県内の小学3年生から6年生を対象に、コンサートに出演する合唱メンバーを募集している。こちらはオーディションはなく、事前練習と本番に出席できれば誰でも参加が可能(6月17日締切)。スペシャルオーケストラをバックに歌う広上や小山と協演するひとときは、何にも代えがたい経験になるだろう。
一方の体験型イベントは16種類予定されており、コンサートチケットを会場受付で提示すると発行される、2日間有効なボレロパスポートで体験が可能だ。パスポートを各イベント会場で提示し、思い思いのコンテンツを楽しみたい。内容は音楽に限定されておらず、パラリンピックの正式競技ボッチャの体験や実験ショーで大人気の「おもしろサイエンスショー」、AIやセンサーを組み合わせたITものづくり体験など、スポーツや科学、工学など多岐にわたる。このほかNHK交響楽団のメンバーらによるレクチャーワークショップ「みつけた!楽器の正体!」や、街かどピアノさながらに自由にピアノに触れることができる「10周年記念 ピアノ夢広場」など、音楽好きのお子さんも楽しめる企画になっている。一部は定員制となるため、詳細はイベント特設ページで確認し、事前申込のうえ参加して欲しい。
今年のイベントテーマは「ひらく」。子どもたちが目をひらき、心をひらいて自ら「本物」を見つけて欲しいとの小山の願いが込められている。さまざまな生の体験に触れ、子どもたちもきっと何かを感じてくれるはずだ。
(正木 裕美)
公演データ
第10回 こどもの夢ひろば ボレロ~つながる・集まる・羽ばたく
〇「ボレロ大集合コンサート」
※要チケット購入
8月3日(土)4日(日)各日①11:15/②14:30
日立システムズホール仙台コンサートホール
指揮:広上淳一
ピアノ:小山実稚恵
オーケストラ&合唱:こどもの夢ひろばスペシャルオーケストラ・合唱
合唱:NHK仙台少年少女合唱隊
J・S・バッハ:管弦楽組曲第2番よりロンド、バディヌリー、第3番よりエール
尾高惇忠:子守唄
ラヴェル(吉川和夫編):ボレロ
〇 体験イベント
※コンサートチケットの提示で2日間有効なパスポートが取得可能
8月3日(土)4日(日)各日10:00~17:00
日立システムズホール仙台内 各会場
スポーツや化学、昔あそび、工学ものづくり体験など
※一部事前予約が必要。詳細はウェブページでご確認下さい。
こどもの夢ひろば ボレロ~つながる・集まる・羽ばたく 特設ページ
〇 合唱メンバー募集
「ボレロ」大集合コンサートに参加する小学生を募集
対象:宮城県内の小学3年生~6年生
【締切】6月17日(月)23:59まで
詳細は以下ページよりご確認下さい。
「ボレロ」大集合コンサート 合唱募集要項
まさき・ひろみ
クラシック音楽の総合情報誌「音楽の友」編集部勤務を経て、現在はフリーランスで編集・執筆を行う。「音楽の友」編集部では、全国各地の音楽祭を訪れるなどフットワークを生かした取材に取り組んだ。日本演奏連盟「演奏年鑑」東北の音楽概況執筆担当。日本芸術文化振興会 芸術文化振興基金運営委員会 音楽専門委員。