静岡音楽館 AOI 第3代芸術監督にギタリストの村治佳織が就任

「ホールのファンを増やしたい!」と意欲を語る

1993年の静岡音楽館 AOI(以下AOI)開館当初から企画会議委員として、2005年からは芸術監督として30年以上の長きにわたりホールの礎を築いてきた野平一郎が、2026年3月末をもって退任。後任はギタリストの村治佳織が務める。4月から始まる新体制を前に、1月21日、同ホールで芸術監督交代発表記者会見が開かれた。

静岡音楽館芸術監督交代発表記者会見に登壇した現芸術監督の野平一郎と、新芸術監督の村治佳織
静岡音楽館芸術監督交代発表記者会見に登壇した現芸術監督の野平一郎と、新芸術監督の村治佳織

次期芸術監督の選出にあたり、野平は「クラシック音楽は敷居が高いというイメージをもたれがちだが、村治さんなら必ずこの壁を越えてくれるだろう」と、いの一番に村治を推薦したという。
いっぽう村治は、芸術監督就任を要請された際「開館から約30年経ったこのホールと、2023年にデビュー30周年を迎えた自分の音楽家人生が交わった。演奏活動だけでなく、演奏家と聴衆をつなげる役割を担うことが、今の自分にとって人生を豊かにしてくれる経験になると思った」といい、デビュー当時、あまりにもギターの認知度が低い現実に直面し、いかにして認知度を高めるか試行錯誤した自身の経験がホールの企画にも生かせると考えた。

村治から野平に、感謝の花束が贈られた
村治から野平に、感謝の花束が贈られた

今後は〝かわる×つなぐ〟を基本方針として、野平現芸術監督の築いた土台を繋いでいくとともに、新たな方針を打ち出す。2026-27シーズン前期の幕開けは、AOIの企画会議委員が総出演するガラ・コンサート〝祝宴〟。まずはホールの企画に携わる音楽家(ギター:村治佳織、ソプラノ:幸田浩子、サクソフォン:上野耕平、歌舞伎囃子方:田中傳次郎、ピアノ:大瀧拓哉)の演奏を聴いて欲しいと、村治が提案した。
また、新年度からレジデンシャル・アーティストにピアニストの大瀧拓哉を迎え、定期的に出演公演を開催する。9月26日のリサイタルでは、2005年度AOI委嘱作品である間宮芳生「エチュードⅣ~Ⅵ-ピアノのために-」をとりあげ、静岡で生まれた音楽の発信に意欲を示す。
シーズン後期では、セシリア(音楽の女神)をテーマに、女性性にスポットを当てたプログラムの演奏会シリーズがスタートする予定。
村治新芸術監督のもと、次の一歩を踏み出すAOIの今後の展開に期待したい。
(野崎裕美)

公演データ

新しいAOIのガラ・コンサート~祝宴

5月30日(土)15:00静岡音楽館AOI

ギター:村治佳織
ソプラノ:幸田浩子
サクソフォン:上野耕平
歌舞伎囃子方:田中傳次郎 ほか
ピアノ、静岡音楽館AOIレジデンシャル・アーティスト:大瀧拓哉

プログラム
村治佳織:バガモヨ ~タンザニアにて~
素囃子「三番叟」
旭井翔一:エクローグ(田園詩)
F.リスト:ハンガリー狂詩曲第13番 イ短調 S.244/13(A.ヴォロドス 編)
R.ロジャース:ミュージカル「サウンド・オブ・ミュージック」メドレー(藤満健 編)
J.シュトラウスⅡ世:春の声Op.410
J.ロドリーゴ:アランフェス協奏曲 第2楽章
D.ミヨー:スカラムーシュ 第1曲 Vif
P.M.デュボア:ディヴェルティスマン 第3楽章 Scherzando
R.ヴィードフ:サクソフォビア ほか

※チケット発売日:3月21日

静岡音楽館AOI 2026-27年度レジデンシャル・アーティスト
大瀧拓哉 ピアノ・リサイタル

9月26日(土)15:00静岡音楽館AOI

ピアノ:大瀧拓哉

プログラム
J.S.バッハ:フランス組曲第5番ト長調BWV816
間宮芳生:ピアノのためのエチュード(4)、(5)、(6)-ピアノのために-(2005年度静岡音楽館AOI委嘱作品)
F.ジェフスキ:「不屈の民」変奏曲

※チケット発売日:3月21日

詳細は公式サイトをご覧ください
https://aoi.shizuoka-city.or.jp/

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野崎 裕美

のざき・ひろみ

クラシック音楽専門誌「音楽の友」ほか音楽誌の編集者を経て、現在はフリーランスのライター・編集者として活動。毎日クラシックナビでは速リポ等を担当し、クラシック音楽のコンサートに通う人が増えるような情報発信に日々情熱を燃やす。

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