下野竜也指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 第594回定期演奏会

色彩に溢れた「青ひげ公の城」を下野の指揮とオーケストラ、2人のソリストが一体になり見事に表現

バルトークの歌劇「青ひげ公の城」メインのプログラム。大阪フィルが定期演奏会で歌劇を取り上げるのは2013年のラヴェルの「子どもと魔法」(指揮:大植英次)以来で、下野竜也はこの曲を2023年に当時音楽総監督を務めていた広島交響楽団で演奏会形式上演以来の指揮となった。

下野竜也指揮 大阪フィルハーモニー交響楽団 第594回定期演奏会

「青ひげ公の城」は、欧州に伝承される青ひげ伝説をもとに、映像作家でモンタージュ理論の先駆者として知られるバラージュ・ベラが台本を執筆した。
ストーリーは、青ひげと結婚したばかりのユディットの要望で自らの城の7つの扉を開けていく、そこには拷問部屋や武器庫、宝石庫など血塗られた不吉な部屋や領土が見渡せる部屋などが姿を現す。青ひげと結婚した女性が城に入ってから外に姿を見せないことなどの真相を探求する彼女は秘密を暴くように扉を開けさせる。そして、最後の部屋にこれまでの妻が生きて存在しているのを発見、やがてユディットもそこに加わる。

バラージュの台本は、各部屋に異なった色彩的な特徴を設定、それを4管編成の大オーケストラが青ひげの領地を表す第5の扉が開いたときの金管楽器の最強音から、暗い部屋の不気味な雰囲気を示す弦楽器の弱音、さらに血のモチーフなど、多様な表情が求められるが、下野指揮の大阪フィルは丁寧にメリハリをつけて見事な音の綾を織りあげていった。また、場面ごとに変わるステージ照明も演奏効果盛り上げに一役を買っていた。

ソリストの宮本益光(青ひげ)、石橋栄実(ユディット)は、広島公演に続いて起用された。シーンごとに声の表情が複雑に変わっていくなど、多彩な技術が求められる難所続きの作品を見事に歌い切った。
組み合わせの曲目は、〝日本のバルトーク〟と呼ばれた大栗裕の管弦楽のための「神話」、小山清茂の「管弦楽のための鄙歌」第2番の2曲、バルトークを含めて伝統音楽を取り入れ名作となった作品が並び、各国の伝統や時代性などを考えるきっかけとなる下野のプログラミングのうまさにも唸らされた。

(平末広)

公演データ

大阪フィルハーモニー交響楽団 第594回定期演奏会

1月22日(木)19:00フェスティバルホール(大阪)

指揮:下野竜也
青ひげ:宮本益光(バリトン)
ユディット:石橋栄実(ソプラノ)
吟遊詩人:田中宗利
管弦楽:大阪フィルハーモニー交響楽団
コンサートマスター:崔文洙

プログラム
大栗裕:管弦楽のための「神話」
小山清茂:管弦楽のための鄙歌 第2番
バルトーク:歌劇「青ひげ公の城」Op.11(演奏会形式)

他日公演
1月23日(金)19:00フェスティバルホール(大阪)

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平末 広

ひらすえ・ひろし

音楽ジャーナリスト。神戸市生まれ。東芝EMIのクラシック担当、産経新聞社文化部記者、「モーストリー・クラシック」副編集長を経て、現在、滋賀県立びわ湖ホール・広報部。EMI、フジサンケイグループを通じて、サイモン=ラトルに関わる。キリル・ぺトレンコの日本の媒体での最初のインタビューをしたことが、ささやかな自慢。

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