「クラシック・キャラバン2023」歌でつなぐ 福島公演

〝合唱のくに〟ならではのガラで魅了 多様な世界と想いを歌で表現

全国27都市でガラ・コンサートを開催中の「クラシック・キャラバン」。その19公演目となる福島公演が11月26日、「歌でつなぐ」をテーマにふくしん夢の音楽堂で行われた。

 

海外の歌をめぐる前半、特筆すべきは日仏声楽コンクール覇者の盛田麻央(ソプラノ)で、サン=サーンス「見えない笛」ほかを歌い、光と陰をたたえる絶妙な発音と瀟洒(しょうしゃ)なリズムでパリへと聴き手を誘った。また現・二本松市出身の樋口達哉(テノール)と共に、「椿姫」から〝乾杯の歌〟を華やかに歌唱。編成もガラらしくトランペットや同ホールが誇るパイプオルガン、パーカッションに東京混声合唱団も加わり、オケさながらの音色と歌い手の演出によって、オペラの華やかな一場面を創出していた。その一方で同合唱団によるシルヴェストロフ「ウクライナへの祈り」やバーバー「アダージョ」など、世界に起こる不条理へ引き戻されるような祈りの作品も。歌が表現し得る多様な想いと音色をかみしめ、前半は終了した。

コンサート後、出演者が勢ぞろいして聴衆の撮影タイムも設けられた。撮った画像は個人SNSへのアップも可能
コンサート後、出演者が勢ぞろいして聴衆の撮影タイムも設けられた。撮った画像は個人SNSへのアップも可能

後半は〝合唱のくに〟福島ならではの曲目が組まれ、ご当地、古関裕而のメドレーや信長貴富「夜明けから日暮れまで」、薮田翔一「盲目の秋Ⅰ」などを髙谷光信率いる東京混声合唱団が披露した。九谷焼が壁面に敷き詰められたホールのクリアな響きも相まって、日本語の発語、倍音までが美しく際立ち、聴き手の集中度もおのずと高くなる。その高まりは古関の「栄冠は君に輝く」で最高潮に達し、自然と沸き起こった客席からの手拍子とともに、合唱と聴衆のコラボレーションで華やかなフィナーレを迎えた。(正木裕美)

Picture of 正木 裕美
正木 裕美

まさき・ひろみ

クラシック音楽の総合情報誌「音楽の友」編集部勤務を経て、現在はフリーランスで編集・執筆を行い、仙台市在住。「音楽の友」編集部では、全国各地の音楽祭を訪れるなどフットワークを生かした取材に取り組んだ。日本演奏連盟「演奏年鑑」東北の音楽概況執筆担当。

SHARE :