文化人やアーティストが多く在住し、市民主体のアートイベントや芸術活動が根づく川崎北部。小田急線・新百合ヶ丘駅周辺には昭和音楽大学のオペラ劇場や川崎市アートセンターの小劇場、映像館等の多様な文化施設や芸術系大学が集積しており、この地で「良質で大人も子どもも楽しめる地域主体の芸術イベントを作っていこう」という思いから、2009年(平成21年)に始まったのが「アルテリッカしんゆり(川崎・しんゆり芸術祭)」だ。
毎年ゴールデンウイークをはさんだ4月~5月の約1カ月にわたり、オペラ、バレエ、オーケストラ、室内楽、演劇、能・狂言、ジャズ、ポップス、ワールドミュージック、落語、映画と幅広い分野のトップアーティストによる公演が開催されており、15回目を数える今年も川崎・新百合ヶ丘などの各文化施設を拠点に、多様なラインアップをそろえて4月16日(日)から5月14日(日)まで、30を超える公演を予定している。
※アルテリッカとは、イタリア語のarte(芸術)とricca(豊かな)を合わせた「豊かな芸術」という意味の造語。
芸術祭のオープニングを飾るのは、藤原歌劇団による新制作のオペラ、ガエターノ・ドニゼッティ作曲「劇場のわがままな歌手たち」〈オペラ全1幕・字幕付き言語(イタリア語)上演〉(4/22、23)。劇場の舞台裏で繰り広げられる騒動を描いたコメディーで「ヴィーヴァ・ラ・マンマ Viva la mamma」というタイトルで知られ、作曲家としてまだ駆け出しの頃のドニゼッティが、当時の劇場界の裏側を風刺して書いた作品。藤原歌劇団の実力派歌手陣が集結する抱腹絶倒の物語で、芸術祭の開幕を華やかに祝う。
また、今回、芸術祭が街に飛び出し、屋外での無料のミニコンサート&落語を届ける「緑と水のコンサート」を初開催。2024年に迎える川崎市市制100周年記念事業として、市制100周年及び全国都市緑化かわさきフェアに向けて、緑をテーマに様々なジャンルの芸術を広めようという取り組みの一環として実施される。ぜひこちらも公式サイトで公演情報をチェックしてほしい。
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きたむら・まいこ
神奈川県生まれ。ロンドン・シティ大学大学院修了。音楽雑誌の編集、クラシック音楽事業の広報などを経て現在フリーランス。クラシック音楽・イベント事業のほか、ウェブ媒体などに音楽関連の記事を執筆している。