~10~ インスブルックでオペラ三昧

プエミエ前にコーヒーで一息
プエミエ前にコーヒーで一息

オーストリアはインスブルックにあるチロル州立歌劇場で、レオンカヴァッロ作曲のオペラ「道化師」と、シェーンベルクの「今日から明日へ」という、まったく異なる2作品のプレミエが行われました。

どちらも全く違うスタイルの音楽で、1公演でこの組み合わせで演奏するのは、すごく珍しいことです。

「道化師」では、オペラならではの即興的でフレキシブルな対応力、「今日から明日へ」では、目まぐるしく変わる拍子と複雑なリズム、そしてたくさんのヴィオラ・ソロがあり、精神的にも体力的にも高い集中力が必要とされます。でも、リハーサルを重ねるうちに、どちらの作品にもどんどん惹かれていきました!

私はこれまでシンフォニーをたくさん演奏してきましたが、実はオペラ作品をしっかり学んだことはありませんでした。ウィーン国立歌劇場でのエキストラ経験、ウィーン・フィル・アカデミーを経て、「オペラを本格的に勉強したい、それもできればオーストリアで」と思っていた矢先、ご縁がありインスブルックで活動する機会に恵まれました。今はこの上ない環境の中で、日々多くを学び、ウィーン・フィル・アカデミー生の時とはまた違った、とても刺激的な毎日を送っています。

そんな日々の合間、今回のプレミエ前に訪れたのが、インスブルックにあるアルプス(アルペン)動物園。

動物たちがのびのびと暮らせる広さと、緑豊かな景観、そしてアルプスの自然に包まれたこの場所に、心から感動……!私にとってインスブルックは、心がほっと安らぎ、あたたかな気持ちになれる場所です。

今回の2作品、6月のすべての公演で首席奏者として参加します。近くにお住まいの方は、ぜひインスブルックまで聴きにいらしてください!

 

アルプスに囲まれた自然豊かな動物園
アルプスに囲まれた自然豊かな動物園

有冨 萌々子

Momoko Aritomi

東京都立総合芸術高等学校音楽科ヴァイオリン専攻卒業後、ヴィオラに転向。東京藝術大学ヴィオラ専攻を経て、ウィーン国立音楽大学学部、修士課程共に満場一致の首席で卒業。
日本演奏家コンクール、ウィーン・ディヒラーコンクール、アントン・ルービンシュタイン国際コンクール、東京音楽コンクール、ブラームス国際コンクールなど、数々の国内外のコンクールにて入賞、優勝。
2019/2020年度公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション奨学生。2022年度オーストリアHFPヤングアーティスト賞受賞。NHK-FMリサイタル・パッシオ、ヤングプラハ国際音楽祭などに出演。CHANEL Pygmalion Days 2023年参加アーティスト。
これまでにヴァイオリンを玉井菜採氏、窪田茂夫氏に、 ヴィオラを大野かおる氏、Wolfgang Klos, Ulrich Schönauer, Thomas Selditz, Tobias Leaの各氏に師事。
2022-2024年度ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のアカデミー生として研鑽を積み、同時期にウィーン国立音楽大学にてセルディッツ教授のアシスタント及び講師も勤めた。
国内外のオーケストラでゲスト首席奏者を務めるだけでなく、ソリストとして東京フィル、日本フィル、新日本フィル、スロヴァキア国立放送交響楽団と共演するなど、オーケストラ奏者、ソリスト、室内楽奏者、指導それぞれで今最も期待されている若手実力派ヴィオラ奏者である。

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