「留学を考えています」という相談を受けることがよくあります。 オーストリアに住んで8年目になりますが、留学生活が充実するために大切なことは3つあると思っています。
1. その都市・街を好きであること
外国で外国人として暮らすということは、日本では想像もつかないような出来事がたくさんあります。楽しいことばかりではなく、文化の違いや言葉の壁に戸惑い、孤独を感じることもあるかもしれません。そんなときに、「それでもこの国が、この街が好きだから」と思えるかどうか。私は、オーストリアが大好きなので、この気持ちがあるだけで、色々あっても前向きに過ごすことができています。

2. 習いたい先生のもとで学ぶこと
「とにかく留学したい!」という気持ちは大事ですが、肝心なのはやはり「何を学ぶか」だと思っています。そのためには、事前に学びたい教授を見つけ、アポイントを取り、レッスンを受けてから判断すること。なんとなく学校や先生を選ぶのではなく、環境を整えてから受験することが、結局のところ試験合格への近道にもなると思います。
3. 国際交流を積極的にすること
海外に住むなら、日本人だけのコミュニティにいるのは本当にもったいないと思っています!! 私が留学当初から意識していたのは、他国籍の人と積極的に話し、友人を作ること。 言葉の壁はもちろんありますが、それは何年経ってもあるので、仕方のないことだと思うようにしています。話せない、理解できないはむしろ当たり前。それでもインターナショナルな場にいることが大事なんです。なぜなら、異なる文化を持つ人々との交流は、新しい価値観を与えてくれるし、語学力向上にもつながるからです。
留学の本質、この軸がブレてしまうと、せっかくの留学生活が充実しなくなるかもしれません。 だからこそ、好きな街で、尊敬できる先生のもとで学び、さまざまな人と関わること。まずはこの3つを意識すれば、留学はただの経験ではなく、人生にとってかけがえのない財産になるはずです!
そろそろ受験の時期なので、普段とは違った記事を書いてみました! 未来の留学生の役に少し立ちますように。

有冨 萌々子
Momoko Aritomi
東京都立総合芸術高等学校音楽科ヴァイオリン専攻卒業後、ヴィオラに転向。東京藝術大学ヴィオラ専攻を経て、ウィーン国立音楽大学学部、修士課程共に満場一致の首席で卒業。
日本演奏家コンクール、ウィーン・ディヒラーコンクール、アントン・ルービンシュタイン国際コンクール、東京音楽コンクール、ブラームス国際コンクールなど、数々の国内外のコンクールにて入賞、優勝。
2019/2020年度公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション奨学生。2022年度オーストリアHFPヤングアーティスト賞受賞。NHK-FMリサイタル・パッシオ、ヤングプラハ国際音楽祭などに出演。CHANEL Pygmalion Days 2023年参加アーティスト。
これまでにヴァイオリンを玉井菜摘氏、窪田茂夫氏に、 ヴィオラを大野かおる氏、Wolfgang Klos, Ulrich Schönauer, Thomas Selditz, Tobias Leaの各氏に師事。
2022-2024年度ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のアカデミー生として研鑽を積み、同時期にウィーン国立音楽大学にてセルディッツ教授のアシスタント及び講師も勤めた。
国内外のオーケストラでゲスト首席奏者を務めるだけでなく、ソリストとして東京フィル、日本フィル、新日本フィル、スロヴァキア国立放送交響楽団と共演するなど、オーケストラ奏者、ソリスト、室内楽奏者、指導それぞれで今最も期待されている若手実力派ヴィオラ奏者である。