結成60年を迎えて円熟を深めるギター・デュオが聴かせる南米ギター音楽の名作
ピアソラが高い評価をしていたことでも知られるブラジルの人気ギター・デュオ、アサド兄弟が4月に来日し、東京、大阪、名古屋でデュオ・コンサートを行う。
セルジオとオダイルのアサド兄弟は、ギターを軸に即興を重視するポピュラー音楽であるショーロのバンドリニストだった父親の影響で、幼い頃からギターに慣れ親しんできた。
著名なギタリスト、モニーナ・タヴォラのもとでその精緻なアンサンブルに一層の磨きをかけた。デュオ・ギターのためのオリジナル作品を圧倒的なテクニックで披露し聴衆を驚かせ続けるアサド兄弟は、兄セルジオの巧みなアレンジにより、さまざまなジャンルの音楽をレパートリーとし、兄弟ならではのオリジナリティに富んだデュオの世界を切り開いている。
また、セルジオの作曲の魅力も世界的に注目され、日本映画「夏の庭」(相米慎二監督)などジャンルを超えて多彩な音楽を作り出し、高い評価を得た。チェロのヨーヨー・マやタンゴ・ヴァイオリンのフェルナンド・スアレス・パスとの共演を経て、世界のトップアーティストとして高い評価を集めている。
創立60周年を記念した今回の来日公演では ピアソラの「トロイロ組曲」から〝バンドネオン〟〝シータ〟やヴィラ=ロボスの「ブラジルの魂」などのギターの名曲から、セルジオ・アサド自らが作曲した「3つのブラジルの情景」などを聴かせてくれる。また、60周年記念の新アルバムのリリースも予定されている。
ギター音楽ファンにとってはクラシック、タンゴ、ポップスといったジャンルの枠組みを超えて大いに楽しめる公演になりそうだ。
公演データ
アサド兄弟ギターリサイタル
2025年4月25日(金)19:00 日本製鉄紀尾井ホール(紀尾井ホールは2025年4月1日~「日本製鉄紀尾井ホール」へ名称変更)、27日(日)14:00 住友生命いずみホール、29日(火・祝)14:00 電気文化会館ザ・コンサートホール
ギター:セルジオ・アサド、オダイル・アサド
プログラム
ピアソラ:「トロイロ組曲」より バンドネオンとシータ
ヴィラ=ロボス:ブラジルの魂
ジスモンチ:パラーソ、やくざなバイヨン
ニャターリ:ワルツとコルタ・ジャカ
セルジオ・アサド:3つのブラジルの情景、組曲「リオの1週間」、ディアンスと3つの時、タヒヤ・リ・オーソリナ
主催/企画・制作:エイベックス・クラシックス
制作協力:インタースペース
詳細は公式ホームページまで アサド兄弟 ギターリサイタル ピアソラが惚れた伝説のギター・デュオ 20年の時を超えて奇跡の来日公演!
みやじま・きわみ
放送番組・映像制作会社である毎日映画社に勤務する傍ら音楽ジャーナリストとしても活動。オーケストラ、ドイツ・オペラの分野を重点に取材を展開。中でもワーグナー作品上演の総本山といわれるドイツ・バイロイト音楽祭には2000年代以降、ほぼ毎年訪れるなどして公演のみならずバックステージの情報収集にも力を入れている。