vol.5 勝田未来
F.Liszt(arr. Sang Jun Lee): La Campanella for Marimba / Joey Eng: Square one
今後活躍が期待される若手音楽家を取り上げる動画企画 『クラズム ~夢を奏でる~』の第5回目は、国際マリンバフェスティバコンペティション2024-2025(ドイツ・バンベルグ)18歳以下の部第1位の勝田未来さんを特集。
勝田さんは東京音楽大学付属高等学校をこの3月に卒業。卒業前の1月にマリンバとの出会い、演奏前の過ごし方、音楽高校ならではの友人との過ごし方、勝田さんが目指す音楽家について語ってもらいました。
世界で活躍する音楽家、指導者を目指して…
マリンバ 勝田未来の夢
Interview [full ver.] : 勝田未来
勝田さんがマリンバを始めたきっかけ、マリンバとの出会いは?
──6歳からピアノを習っていて、そのピアノの先生がマリンバ奏者でもあるんですけれど、毎年冬にマリンバのコンサートを行っていて、小学6年生の時にその先生から大会に出てみない?と誘われて、本格的にマリンバを始めました。
最初から結構上手に弾けましたか?
──最初は2本から始まるんですけど、4本を持ってやろうという時に、最初は全然持てなくて、指の皮がよくむけちゃって結構大変でした。
いろんな楽器の中でもマリンバの魅力っていうのはどういったところに?
──まず木の温かい響きは本当に魅力的な部分でもありますし、あとは他の楽器と比べると演奏中の動きが映えるっていう部分がすごく魅力的かなと思います。
どれくらい練習する?
──学校がある日だとできても4、5時間ぐらいかなと思っていて、休日とかは6、7時間ぐらい練習しています。
西久保先生のレッスンはいかがですか?
──自分が何をやるべきかを、すごく明確にいつも伝えてくださるので、レッスンが終わった後の復習もしやすいですし、それを応用しやすいです。
西久保先生からは、スキルはもう素晴らしい、今は表現方法とか表現力をどこまで高められるかというステージだとおっしゃっていましたが、ご自身ではどう思いますか?
──難しい曲はいっぱいあって、まだ技術的にも磨ける部分は僕自身としてはいっぱいあるのかなって思っていますし、音楽的要素でいうと、一つ一つの曲の背景とかを深掘りできているものもあれば、できていないものもあるので、そういうところにも注目して、これからも演奏していきたいなって思っています。
本番前のルーティンは?
──僕の場合は、本番前はすごく緊張しちゃうタイプで、本番前日の夜は、うどんって決めていて、当日とかも演奏前までは食べ物を口にしないです。落ち着かせるために深呼吸したり、最近は本番前に瞑想して自分を落ち着かせたりして演奏しています。
演奏されている時について教えてください
──まず練習の時もその曲の情景をイメージして練習しています。本番で弾く時はホールなのですごく響きが良くて、それを聴きながら自分の思っている情景を重ねて、それをイメージして演奏しています。
普段の姿、学生生活について教えてください
──基本は友達とずっと喋っていて、学校では女子が圧倒的に多いのもあって、男子で固まってワイワイ楽しくやっています。
お友達の幹太くんとは結構仲良いと思いますが普段どんなことやっていますか?
──普段は何気ない会話をすごくしますし、音楽仲間なので、音楽の話も沢山できるのがすごく素敵なところだと思っています。休みの日とかだと、遊びに行ける時はスポッチャ行ったりとか、運動もしたりします。
さっき一緒にピアノで遊んでいましたが?
──そうですね。僕自身、結構ピアノを触ることがすごく好きで、軽く即興的なもので演奏することもあるんですけれど、一緒に二人でピアノの椅子に座って、遊んでみたりとか、少しふざけてみたりっていうのもたまにやっています。
何か音楽的に刺激に?
──そうですね。それでパって思いついて、ちょっと曲に活かしてみたりとかっていうのもあります。
将来について、目標は?
──目標は、オーケストラとかでもティンパニーなどいろんな楽器に挑戦して、それで自分の能力自体を上げられたらなって思っています。そうして世界中でいろいろ演奏できるようになった後は、このような音楽大学とかで指導できる立場にもなれたらなと考えています。
Interview : 西久保友広
勝田未来さんとの出会いは?
──付属高校に彼は在学していて、打楽器科はマリンバとパーカッションの先生が一人ずつつくんですが、私はパーカッション担当で、最初の2年間はパーカッションを見ていました。今はマリンバを担当しています。でも、彼はコンクールをすごくたくさん受けていました。名前はどこでも見ていたので、私は一方的に知っていました。
第1印象は?
──第1印象はテクニックもあって、すごく上手な子だと思うんですけれども、人に対しても作品に対してもすごく謙虚で、向上心がある。何か発言であるとか、演奏スタイルもそうなんですけれども、尊敬の念というのを感じて、それはすごいと思います。
勝田さんはどんなマリンバ奏者ですか?
──鍵盤楽器のソリストというと、技巧的なことに注視してしまうというか、技巧的に見せるマリンバ奏者がすごく多いと思うのですが、テクニック的に素晴らしいというのもあるんですが、勝田君の演奏は歌心があるというか、それをテクニックを超越して音楽をしっかり表現しようとするところが素晴らしいと思っています。
曲の解釈も含めて、すごく聴き手の心が動くような演奏っていうイメージ?
──そうですね。ビルトーゾも、もちろんそうなんですけれども、それ以上に本当にフレーズ一つ一つがどうやりたいとかいうのも、歌心がすごく自然で音楽的なところが彼の魅力だと思っています。
勝田さんの光るところは?
──私からでも羨ましいぐらいのテクニックがあるんですが、これはもう鍛えたらいいというものでもなくて、ステージで出てくるだけで光るものが何かあるというか、それは何か彼自身が持っているスター性であるというか、というのは感じます。あと、マリンバに立って、いざ演奏するというときの呼吸感というんでしょうか、集中していくっていう感じが、若者とは思えないぐらいプロフェッショナルさをすごく感じていて、演奏もテクニックだけに頼らず、しっかりと音楽を作り上げる、作り込んでいく感じが本当に素晴らしいと思っています。
レッスンについて
──テクニック的には本当に結構完成されているかなと思うので、そこまでどうこう言うことはないんですが、曲全体を見たときに、ここはもっとこうした方がいいというか、ちょっと抑えてみるとかいうので、こういう抑揚をさらにつけていくというのが大事なレッスンかなと思っています。でも、彼自身もすごくこう、ここはこうやりたいという意思がかなりはっきりしているので、意思を確認しつつ、それで私がここはこうしてみたらこうなるし、私としてはここの表現はもっとこうしてみるといいという感じで、ディスカッションするような形でレッスンは進めています。でも、何か1言うと10返ってくるというか、その時できないとしても、次回のレッスンまでにすごい研究したんだなというのが音として表れているので、レッスンしていて私はとても嬉しいですし、楽しいです。
先ほども、「ここを踊ってみようとか、ここは歌うよ」といった指導をされていましたが、スキルというよりは表現力を指導している?
──はい。かなり細かいことというか、細かい指導になっているのではないかと思っています。
演奏中の勝田さんと普段の勝田さんについて
──普段は何かしゃべっているとかなりおっとりしているというか、主張がそんなにない感じの方が多いと思うんですけども、本当に演奏になるときりっと変わるので、その辺は、芸術家タイプというか普段とステージに立った時では違うのではないかと私は思っています。
最後に、勝田さんに期待することは?
──将来が楽しみな音楽界を担っていく逸材だと思うんですけども、マリンビストというのではなくて、音楽家であってほしいし、音楽界以上に芸術家としていろんな人を魅了していっていただきたいですし、さらにマリンバという楽器を広めていってほしい人材だと思っています。
さらに、打楽器の世界は本当に幅広くて、マリンバももちろんありますし、オーケストラのパーカッションなどいろいろあるので、何かマリンバに限らず、パーカッションなどを通して、さらに表現方法であるとか、いろいろな作品に触れる機会というのがあると思うので、さらにそれで素晴らしい音楽家になってほしいと思っています。
Profile
勝田未来(カツダミライ) Mirai KATSUDA
スイスで生まれ6歳で富山県に移住。高校進学を機に上京。6歳よりピアノ、12歳よりマリンバを始める。
国際マリンバフェスティバコンペティション2024-2025(ドイツ・バンベルグ)18歳以下の部第1位。第35回日本クラシック音楽コンクール打楽器高校の部第1位(5年連続最高位)。第27回日本ジュニア管打楽器コンクール高校生コースマリンバの部金賞、高校生コース全部門文部科学大臣賞。第8回世界マリンバコンクール(中国・杭州)セミファイナリスト。第21回PASイタリア国際打楽器コンクールマリンバA部門第2位。第3回日本国際音楽コンペティション打楽器高校の部第1位並びに姫路市教育委員会賞、全音楽譜出版社賞。第26回長江杯国際音楽コンクール打楽器高校の部第1位。第73回福井県音楽コンクール県知事賞。第39回富山県青少年音楽コンクール大賞並びに県知事賞、福井直秋音楽賞。2025年にテレビ朝日『題名のない音楽会』に未来オーケストラの一員として山田和樹氏指揮の下、出演。更に選抜メンバーとして「こども音楽フェスティバル2025」に出演。2026年に第35回日本クラシック音楽コンクール入賞者披露演奏会でオーケストラと初共演。これまでに大谷多賀子、西久保友広、神谷百子、堀尾尚男の各氏に師事。現在、東京音楽大学付属高等学校3年に特別特待奨学生として在籍。
*2026年4月から東京音楽大学に特別特待奨学生として進学することが決定。
西久保 友広(ニシクボトモヒロ)Tomohiro NISHIKUBO
東京音楽大学を経て、東京音楽大学大学院修士課程修了。2005年第10回KOBE国際学生音楽コンクールにおいて最優秀賞及び兵庫県教育委員会賞受賞。第10回JILA音楽コンクール打楽器部門において第1位受賞。第22回日本管打楽器コンクールにおいて第2位受賞。第75回読売新人演奏会出演。第10回神戸新聞文化財団松方ホール音楽賞大賞受賞。大学在学中、東京音楽大学特待生及び(財)明治安田生命クオリティオブライフ文化財団奨学生に選ばれ奨学金を授与される。現在読売日本交響楽団打楽器奏者。「パーカッション・ミュージアム」「パーカッショングループ72」「The TUBA BAND」「ザ・パーカッション・チェンバー」のメンバー。音楽之友社「バンドジャーナル」にて「こちら西久保打楽器研究室」を6年間連載。玉川大学、昭和音楽大学、東京音楽大学で後進の指導にあたる。



