~3~ 衝撃だったマエストロ・ティーレマンとのウィーン・フィル定期

カーネギーホールで。右端にはティーレマン!
カーネギーホールで。右端にはティーレマン!

ウィーン・フィルの公演では、弾きながら感動して涙が出てしまったコンサート、素晴らしすぎてもはや笑っちゃったコンサート、なんかもう凄過ぎて立てなかったコンサートなど色々あります。色々振り返っていきたいと思いますが、本日はそのひとつ、もう、衝撃的すぎてびっくり仰天しちゃったコンサートに、2023年2月のMo.(マエストロ)ティーレマンとの定期演奏会をあげたいと思います。

この公演の後にはアメリカ・ツアーが控えていたため、この月はプログラムもとっても多かった。ブルックナー8番、アルプス交響曲、シェーンベルク「浄夜(浄められた夜)」、ブラームス2番、メンデルスゾーン3番などなど。たくさんのプログラムを持ってアメリカ・ツアーに行きました。

私はこの公演を機にティーレマンの大ファンになり、今もインタビューなどで1番好きな指揮者は? と聞かれたら先ずティーレマン! と答えています。

2023年3月のカーネギーホール公演は完売
2023年3月のカーネギーホール公演は完売

中でもアルペン交響曲。今でも記憶に残っています。ウィーン・フィルではティーレマンの指揮で弾ける機会がたくさんありましたが、本番に楽譜を見ながら振っていたのを見たことがありません。全曲暗譜。強い目力で、奏者と常に目線を合わせていらっしゃいます。重厚で濃厚な音楽スタイルで「難しい人物」などと世の中は仰っていますが、私が見た彼は、情熱的で、一音たりとも見逃さない、それでいてユーモアに溢れた方だと思いました。そして何よりウィーン・フィルとの相性が抜群。

今年のウィーン・フィル ニューイヤー・コンサートでは私のことを密着していただいたのですが、その時にもティーレマンとアカデミー生が対話している時間が放映されました。そのように、私たちのような次世代の音楽家とも気さくに触れ合ってくださる方です。

今月の日本フィルMo. インネキンの定期演奏会にゲスト首席として参加させて頂きます。曲目はグラズノフのヴァイオリン協奏曲(ソロ:神尾真由子さん)、そして、アルプス交響曲。

ウィーン・フィルで勉強した曲を他のオケで、首席で弾かせていただく時は、いつも頭のどこかで、必ず安心感があります。それだけ多くのことを勉強させてもらえたんだなあと、毎回思うのです。

有冨 萌々子

Momoko Aritomi

東京都立総合芸術高等学校音楽科ヴァイオリン専攻卒業後、ヴィオラに転向。東京藝術大学ヴィオラ専攻を経て、ウィーン国立音楽大学学部、修士課程共に満場一致の首席で卒業。
日本演奏家コンクール、ウィーン・ディヒラーコンクール、アントン・ルービンシュタイン国際コンクール、東京音楽コンクール、ブラームス国際コンクールなど、数々の国内外のコンクールにて入賞、優勝。
2019/2020年度公益財団法人ローム ミュージック ファンデーション奨学生。2022年度オーストリアHFPヤングアーティスト賞受賞。NHK-FMリサイタル・パッシオ、ヤングプラハ国際音楽祭などに出演。CHANEL Pygmalion Days 2023年参加アーティスト。
これまでにヴァイオリンを玉井菜摘氏、窪田茂夫氏に、 ヴィオラを大野かおる氏、Wolfgang Klos, Ulrich Schönauer, Thomas Selditz, Tobias Leaの各氏に師事。
2022-2024年度ウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のアカデミー生として研鑽を積み、同時期にウィーン国立音楽大学にてセルディッツ教授のアシスタント及び講師も勤めた。
国内外のオーケストラでゲスト首席奏者を務めるだけでなく、ソリストとして東京フィル、日本フィル、新日本フィル、スロヴァキア国立放送交響楽団と共演するなど、オーケストラ奏者、ソリスト、室内楽奏者、指導それぞれで今最も期待されている若手実力派ヴィオラ奏者である。

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